シルバーウィーク(1) 道東へ 北海道の歴史と文化と自然
2009-09-29


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ご無沙汰をしております。
シルバーウィークをはさみ、いろいろなできごとがありました。気候もよく、秋はいろいろな行事がありますね。
札幌の緯度は北緯43度。本日の日の出は5 時 29 分、日の入は17 時 21 分です。京都の緯度は北緯35度、日の出は5 時 50 分、日の入は17 時 45 分です。夏至の頃、京都より1時間も昼が長かった札幌ですが、今後は逆転してどんどん昼が短くなります。春分・秋分では札幌・京都で差はありません。ですから、札幌ではこれから冬に向けて急速に日が短くなるわけで、だいたい1日に2分くらいも短くなるそうです。
過ぎゆく秋をもうしばらく楽しみたいです。


☆9月18日 北大アイヌ・先住民研究センター主催の講演会「先住民にとっての神話と遺産」に行きました。会場の北海道大学遠友学舎は、カナダのウィスラーに昨年オープンした スコーミッシュ・リリワット・カルチュラルセンターによく似た外観で驚きましたが、このような催しを行うにはぴったりの雰囲気のある建物でした。場所は北大の北18条門近くです。

この日、アラスカ・クリンギット族のストーリーテラー(語り部)であるボブ・サム氏が、神話を語ると聞いて楽しみに行きましたが、彼を歓迎する意味で行われたアイヌの伝統楽器ポンコリの演奏、そしてアイヌの口承文芸ユカラを思いがけず初めて聞くことができ、考えさせられました。

北大キャンパスは、かつてアイヌの人々が暮らしていた地であり、キャンパス建設に当たってはたくさんの遺跡が発見されたそうです。2年ほど前から、北大ではアイヌの祖先を供養する儀式を行っており、またアイヌ・先住民研究センター所属の研究者にはアイヌの方もいらっしゃって、ユカラを聞かせてくださったのもその一人でした。文化を研究するだけでなく、実際に生きている文化として継承していくことを大事にしている研究センターなのだと知りました。

以前、極北カナダの先住民族のドラムをはじめて聞いたときに、言い表し難い懐かしさのような感動を覚えたので、今回もアイヌの音楽・語りや米国アラスカの先住民族クリンギットの語り部ボブ・サム氏の語りに親しみを感じるのではないかと期待していたのですが、実際には感動というより違和感を覚えました。それは意外にも思えましたが、日頃から伝統音楽などに接しているわけではないのですから当然かもしれません。アイヌについても、小学校の社会科などで習って以来です。

アイヌとクリンギットの伝統的な衣装が非常によく似ているのには驚きました。アイヌの音楽・語りは、淡々としていてメロディーというよりはリズムで構成されているようなものでした。私の感性の問題かもしれませんが、言葉がわからないと音楽も語りも響いてこないという印象をもってしまいました。

一方ボブ・サム氏の語りは、平易な英語でわかりやすかったものの、ヨーロッパの演劇学校でわざわざ効果的な語りの方法を学んできたという話を聞いて、違和感を覚えました。星野道夫氏がアラスカでボブ・サム氏と初めて出会ったときには、もっと素朴な語りだったのではないでしょうか。語りも時代とともに変わってきたのかもしれません。
自分と異なる民族の文化や伝統は、上っ面では理解できないというだけのことかもしれません。

この日、ボブ・サム氏がキーワードにしたのは"forgiveness(許し)"。彼自身が、多くのアラスカ先住民族の若者同様、職もなくアルコールやドラッグにおぼれ、白人に対する怒りだけが心の中に存在していた過去をもち、そこから抜けだし今があるのは「許し」を学んだからだと言い、この言葉を世界中の人類に伝えるための語りなのだと言いました。
ちょうどこの頃、私は辺見庸著「愛と傷み〜死刑をめぐって」を読んでおり、同じメッセージを本書の中に見つけたところでした。

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